September 2024 Monthly Roundup/ 2024年09月 米国・グローバル最新トピックのご紹介- Covington
September 2024
今月のPick Up記事は下記になります。
- 米国商務省・国務省による、外国の軍事・安全保障・諜報活動への支援に関する規則案の公表(及び米国輸出管理に関する近時の動向)
- 2023年CFIUS年次報告書の概要と特定不動産に対するCFIUSの管轄権を拡大する規則案の公表
- 米国司法省による内部通報報奨パイロットプログラムの開始
- ワシントンDC連邦地裁、グーグルによるオンライン検索・検索連動型広告市場の独占を認定
- 米国テック立法、規則、訴訟の最新動向-2024年第2四半期
ご不明な点やより詳しい情報の入手等のご要望がございましたら、ジャパンプラクティス代表木本までご連絡ください。
Pick Up
[米国/輸出管理規制/安全保障]
米国商務省・国務省による、外国の軍事・安全保障・諜報活動への支援に関する規則案の公表(及び米国輸出管理に関する近時の動向)
U.S. Departments of Commerce and State Issue Proposed Rules Regarding Support for Foreign Military, Security, and Intelligence End Uses and End Users; Other Recent U.S. Export Controls Developments
2024年7月25日、米国商務省産業安全保障局(Bureau of Industry and Security、以下「BIS」といいます。)及び米国国務省国防貿易管理課(Directorate of Defense Trade Controls、以下「DDTC」といいます。)は、それぞれ輸出管理に関する規則案を発表しました。BISが発表した規則案は、米国輸出管理規則(Export Administration Regulations、以下「EAR」といいます。)を基礎に、その対象品目の輸出、再輸出、国内移転及び米国人による支援に関する制限を強化するものです。具体的には、①EAR対象品目への最終用途・最終使用者規制を武器禁輸対象国(中国等)の軍隊、国家警備隊、準軍事部隊及び懸念国の民間又は軍事情報機関にも拡大、②規制品目リスト(Commerce Control List)に課される最終用途・最終使用者管理を武器禁輸対象国及びテロ支援国の警察、治安機関、軍事関連企業にも適用、③懸念される最終用途・最終使用者に関する米国人の支援活動制限を拡大、④大量監視を可能にする顔認識システムの輸出・再輸出・国内移転の制限強化などが重点事項として挙げられます。また、DDTCが発表した規則案は、国際武器取引規則(International Traffic in Arms Regulations)における「防衛サービス」の定義を修正し、諜報活動及び軍事支援に関する一定の事項にも管理を拡大するものです。いずれの規則案についても、2024年9月27日までパブリックコメントの対象となっています。
[米国/対米外国投資/安全保障]
2023年CFIUS年次報告書の概要と特定不動産に対するCFIUSの管轄権を拡大する規則案の公表
Overview of 2023 CFIUS Annual Report and New Notice of Proposed Rulemaking Expanding Jurisdiction Over Certain Real Estate
対外米国投資委員会(The Committee on Foreign Investment in the United States、以下「CFIUS」といいます)は、安全保障の観点から対米外国投資を審査する委員会です。このCFIUSが、2023年における対米外国投資の審査に関する年次報告書を発表しました。この年次報告書からは、①グローバルなM&A活動減少に伴い、2023年にCFIUSが審査した取引の数は前年よりも19%減少しているが、他方で全体的な審査期間短縮が見られたこと、②簡易的な申告の承認率が76%と過去最高を記録し、申告プロセスの最適化、申告者による手続選択の洗練化が進んでいること、③CFIUSは2023年中に軽減措置違反による4件の民事罰を課したが、これは過去50年近くの歴史の中で課された罰則の2倍にあたり、対米投資への取締執行機関としてのCFIUSの役割に重点が置かれつつあること、④審査された109件のうち、不動産取引はわずか3件のみに留まることなどが読み取れます。また、2024年7月8日、米国財務省(The U.S. Department of the Treasury)は、外国人による米国内の特定の不動産取得に関して、CFIUSの管轄権を拡大する規則制定案公告(Notice of Proposed Rulemaking)を発表しました。2024年5月13日、バイデン大統領が中国籍企業による米国内の不動産買収を正式に禁止する史上初の大統領令を出したように、外国企業による米軍施設付近の土地買収に対する懸念が高まっており、今回の規則案もこれに起因するものであると思われます。
[米国/コンプライアンス/内部通報]
米国司法省による内部通報報奨パイロットプログラムの開始
DOJ Launches Pilot Program to Reward Corporate Whistleblowers
2024年8月1日、米国司法省(The U.S. Department of Justice、以下「DOJ」といいます)は、3年間に及ぶ企業の内部通報報奨パイロットプログラムを開始しました。このパイロットプログラムは、企業の不正行為を通報した特定の個人に報奨を与えることで内部通報を促すものであり、DOJでは初の試みとなります。パイロットプログラムにおいて、要件を満たす内部通報者は「オリジナル」な情報を提供したことの見返りとして、没収された純利益の一部を受け取ることができるとされています。その要件としては、①他の連邦内部通報制度の対象外であり、DOJが特定した分野の通報であること、②100万ドル以上の純利益没収につながったこと、③その他の基準(内部通報者が犯罪行為に実質的に関与していないこと、通報が真実かつ完全であることなど)が定められています。他方で、DOJはパイロットプログラムと企業の内部通報・調査機能との関係にも配慮しており、コンプライアンスや法務の担当者等による通報は原則として報奨の対象とならないほか、内部通報者がまずは社内の既存の通報制度を通じて内部通報を行うことを奨励し、その後社内調査に協力した場合に報奨を得られるとしています。このようなDOJによる内部通報報奨パイロットプログラムが企業にどのような影響を与えるか、今後の動向が注目されます。
[米国/独占禁止法/競争法]
ワシントンDC連邦地裁、グーグルによるオンライン検索・検索連動型広告市場の独占を認定
D.C. District Court Finds Google Monopolized Markets for Online Search and Search Text Advertising
2024年8月5日、ワシントンDC連邦地方裁判所において、グーグルがオンライン検索及び検索連動型広告市場を独占し、市場において他社に対して違法な排除行為を行っているとの判決が下されました。判決において、裁判所は、グーグルがウェブブラウザ開発者、モバイル機器メーカー、ワイヤレス通信事業者と収益分配契約を結ぶことで、全米のほとんどのPC・携帯電話における初期設定の検索エンジンとしての地位を確保していたと認定しました。そして、グーグルのこのような契約により、競合他社によるユーザー獲得競争が不当に阻害され、結果としてグーグルがオンライン検索の約90%を掌握し、検索連動型広告の大部分を販売することになったと認定されています。次のステップとして、裁判所はグーグルの上記行為に対して、どのような救済措置をとるべきかについて決定することになりますが、かかる決定を出すまでの審理は来年以降も継続すると見込まれています。
[米国/テック/AI/自動運転/データプライバシー/サイバーセキュリティ]
米国テック立法、規則、訴訟の最新動向-2024年第2四半期
U.S. Tech Legislative, Regulatory & Litigation Update – Second Quarter 2024
本稿では、テック関連の法規制等の最新動向について、人工知能(AI)、自動運転車等(connected and automated vehicles、以下「CAV」といいます。)、データプライバシーとサイバーセキュリティなどのトピックを中心に取り上げます。人工知能に関しては、連邦法レベルで様々な法案(AIと著作権、AIの利点とリスクに関する啓蒙活動等)が議論されており、また上院の超党派作業部会によるAI政策のロードマップ発表、ホワイトハウスによるAIに関する原則の発表等がなされたほか、AIと著作権をめぐる訴訟も複数展開されており、今後の動向が引き続き注目されています。CAVに関しては、連邦通信委員会(Federal Communication Commission)が規則制定案公告を発表し、コネクテッド・カーの悪用によるストーカー行為や嫌がらせ対策等への意見を募っているほか、CAVへの規制のあり方や安全基準、中国等の企業が製造したコネクテッド・カーに対する安全保障の観点からの審査等が議論されています。また、データプライバシーに関しては、連邦レベルでは、6月に包括的な連邦プライバシー制度を創設するAmerican Privacy Rights Actが議会に提出されているほか、州レベルでは、カリフォルニア州等の16州に続き、新たにメリーランド州、ミネソタ州、ネブラスカ州、ロードアイランド州が包括的なプライバシー法を制定しています。
News
[弊所パロアルトオフィスでNavigating the Challenges and Geopolitical Risks in Cross-Border Business with Asiaを開催します] 国をまたぐ事業展開やアジアとのクロスボーダー取引に携わる起業家や投資家、その法務チームを対象としたブリーフィングとネットワーキングとなっておりますので、パロアルト近郊の方にぜひお知らせください。ジャパンプラクティス共同代表木本も登壇し、その後のレセプションにも参加致します。9月25日午後3時から。こちらからご登録下さい。
[The American Lawyer “A-List”に9年連続で選出されました] 弁護士一人あたりの収益に加え、プロボノへのコミットメント、アソシエイトの満足度、人種・ジェンダーの多様性といった側面からTop Law Firmを選ぶもので、コビントンは2003年以降19回目の受賞となります。
[The Recorder “Law Firm of the Year” ファイナリストに選出されました] Tech Industry Litigation Department of the Year、Tech Industry Advisory Team of the Year、Environmental, Social, and Governance Initiativeの各カテゴリーでファイナリストに選ばれているほか、Emily Henn がthe Distinguished Leader Awardを、Lindsey Tonsager が Women Leader in Tech Lawを受賞しています。
[David Ziontsが連邦控訴裁判所での勝利を勝ち取りました] Monsanto(Bayer)の除草剤ラウンドアップをめぐって争われていた論点につき、ペンシルバニア州法に基づく警告義務違反の請求よりも連邦法であるthe Federal Insecticide, Fungicide, and Rodenticide Actが優先するとの判断を勝ち取りました。すでに2つの巡回区でクライアントの主張が否定されていたところであり、大きな注目を集めています。AmLaw Litigation DailyのLitigator of the Weekに選ばれていますので、ぜひこちらでご覧ください。
Practice Spotlight
コビントンのLitigation and Investigationsプラクティスの代表を務めるJohn HallがAmLaw Litigation Daily “Litigation Leaders” に特集されましたので、今月は同プラクティスを紹介致します。記事においては耳目を集めた最近の勝訴判決やこれからトライアルが始まる注目ケースなども紹介されていますので、ぜひこちらでご覧ください。
危機管理・ホワイトカラー、特許訴訟、保険請求訴訟が、弊所Litigation and Investigationsプラクティスにおける三つの大きな柱となる分野ですが、近時は、さらに下記の3つの分野において急成長を遂げています。まず、①製薬、医療機器、食品業界等の依頼者に対して提起される集団不法行為訴訟(Mass Tort)、次に、②独占禁止法、製品の欠陥、消費者保護、データプライバシー、ERISA等を請求の根拠とするクラスアクション、そして、③連邦取引委員会(FTC)、米国環境保護庁(EPA)、米国消費者製品安全委員会(CPSC)といった連邦政府機関や各州司法長官(Attorney General)による民事執行訴訟等への対応や憲法訴訟(政府訴訟)です。
弊事務所の特徴としては、公判(Trial)や上訴審を担当する著名な弁護士を含む800 人を超える訴訟、調査案件に精通する弁護士が、係争の対象となる規制及び産業・公共政策に精通したスペシャリストとの緊密な連携を取りながらケースを進めていくところにあります。これにより、各係争がどのように展開していくかをより深く洞察でき、かかる洞察に基づく創造的な主張を考案すると共に、紛争を解決するための最も適切な戦略を見出すことに強みを有しています。
さらに、弊事務所においては、案件を獲得した弁護士に優先して報酬を与えるオリジネーション・クレジットシステムを採用しておらず、依頼者のためにベストな弁護士・スペシャリストのチームを組成することを優先する体制をとっていることも、弊事務所の強みを補強していると言えます。これにより、クライアントと長期的かつ良好な関係を築くことが可能となっているだけでなく、最も優秀で多様性に富む若手弁護士を育てる環境も構築しています。
Webinars
弊所主催Webinarは、参加のご登録をいただくと後日録画をご視聴いただけます(オフレコのWebinarを除く)。開催済のウェビナーも録画視聴のご登録をいただける場合がありますのでご確認ください。
[Covington Africa Life Sciences Update Webinar]
Wednesday, September 4, 2024 10:00 - 11:00 a.m. EDT
[Election Year Issues Facing Corporations]
Thursday, September 5, 2024 12:00 – 1:00 p.m. EDT
[The Impact of the EU AI Act on Medical Devices and IVDs]
Wednesday, September 18, 2024 11 a.m. - noon EDT
[Human Rights and Investigations - How They Impact Company Operations in the Middle East and Africa]
Wednesday, September 25, 2024 8:00 - 9:00 a.m. EDT
[Get Me Rewrite!: Insurance Policy Reformation and Related Remedies]
Tuesday, October 1, 2024 1 - 2 p.m. EDT
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