December 2023 Monthly Roundup/2023年12月 米国・グローバル最新トピックのご紹介- Covington
December 2023
コビントン・バーリング法律事務所(Covington & Burling LLP)より、11月に配信したニュースやブログ記事等をまとめてお送りします。Pick Up記事については日本語でコメントを付しておりますのでぜひご覧下さい。
Pick Up
今月は下記4つの記事をピックアップしております。
1) バイデン大統領が労働者保護政策の国際的な推進に向けた覚書を公表
2) 大量保有報告制度に関するSEC規則の改正
3) EUの企業サステナビリティ報告指令
4) 国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)の開催
[労働/人権/国際政治]
バイデン大統領が労働者保護政策の国際的な推進に向けた覚書を公表
President Biden Issues Memorandum on Advancing Worker Empowerment, Rights, and High Labor Standards Globally
バイデン大統領は、2023年11月16日、各連邦行政機関に向けて、労働者保護政策を国際的に推進していくことを指示する覚書(以下「本覚書」といいます。)を公表しました。バイデン政権は、これまで労働者保護を国内政策の中心に据えてきており、本覚書はそれを国際的な取組みとしてさらに拡大していくものと位置付けられます。本覚書は、具体的な法令等を定めるものではありませんが、労働者保護政策に関するバイデン政権の国際的な方針を具体化するものであり、当該政策の推進に向けて注力すべき五つの優先的事項として、1) 外交的手段(経済的支援等)の活用、2) 労働関連団体等に対する脅威への対応、3) 連邦機関の人員補充・強化、4) 国際機関との連携、5) 国際通商の活用を掲げています。また、本覚書全体からは、政策の国際的な拡大にとどまらない今後の連邦政府の方針も読み取ることもでき、引き続き強制労働への対処に焦点を当てていくこと、民間セクターとの連携を積極的に図っていくこと、労働者保護を再生可能エネルギーの普及と関連付けつつ進めていくことといった点も明らかにしています。今後、本覚書の方針に基づく法令等の策定が予想されることから、その動向には引き続き注視が必要です。
[大量保有報告/SEC/開示規制]
大量保有報告制度に関するSEC規則の改正
Changes to SEC Beneficial Ownership Reporting Requirements
米国証券取引委員会(Securities and Exchange Commission、以下「SEC」といいます。)は、1934年証券取引所法(Securities Exchange Act of 1934)第13条(d)及び第13条(g)に基づく報告書の提出期限を早める規則の改正(以下「本改正」といいます。)を公表しました。両条項は、上場会社の株式等の5%超の実質的保有権(Beneficial Ownership)を有する投資家に対し一定の保有内容の報告を義務付けているところ、本改正により、Schedule 13Dは5%超の保有取得後5営業日以内に(取得後10日以内から短縮)、重大な変更があった場合の変更報告は2営業日以内に提出しなければならないこととなりました。また、Schedule 13G(適格機関投資家等の一定の投資家がSchedule 13Dに代わり提出可能)は、通常、5%超の保有を取得した各四半期の末日から45日以内に提出しなければならないこととなりました。これまでのSchedule 13Dの提出期限では、開示の閾値を超えた後も、投資家が、市場に開示することなく10日後の提出期限まで証券を取得し続ける可能性があることが懸念されていましたが、本改正の提出期限等の短縮は、当該行為の抑制に一定の効果をもたらすと予想されます。さらに、SECは、本改正に加え、共同保有者(Group)該当性に関する指針や現金決済型デリバティブ取引の実質的保有者向けの指針を公表しました。Schedule 13Dの提出期限に係る本改正は、Federal Registerに掲載された日である2023年11月7日から90日後の2024年2月5日に発効し、Schedule 13Gの提出期限に係る本改正は2024年9月30日に発効します。
[ESG/サステナビリティ/EU]
EUの企業サステナビリティ報告指令
The EU’s Corporate Sustainability Reporting Directive: What Do Companies Need to Know Now That Reporting Standards Are Finalized?
EUで事業を行う企業では、企業サステナビリティ報告指令(Corporate Sustainability Reporting Directive、以下「CSRD」といいます。)への対応に向けた準備が進められています。CSRDは、企業の事業及びバリューチェーンに関連してサステナビリティに重要な影響を及ぼす事項や、企業のサステナビリティに関する指針及び目標について報告を求めるものです。適用対象法人は段階的に拡大していく予定で、1) 2024年にはEU及びEEA域内の従業員数が500名以上の社会的影響度の高い法人(Public Interest Entity, Non-Financial Reporting Directiveの適用対象法人)、2)2025年には同域内の一定の要件を満たす大企業等、3) 2026年にはEUで上場するEU及びEEA域内の中小企業、さらには、4) 2028年にはEU及びEEA域内に重要な事業を有するEU域外の親会社も適用を受けることとなります。CSRDに基づく報告は、欧州サステナビリティ報告基準(European Sustainability Reporting Standards、以下「ESRS」といいます。)に則ってなされる必要があります。ESRSが求める報告範囲は広く、例えば、環境(E)に関しては、温室効果ガスにとどまらず、水資源、生態系、サーキュラーエコノミー等について、社会(S)に関しては、バリューチェーンの上流下流を含めた労働者、消費者、その他影響を受けるコミュニティについて、ガバナンス(G)に関しては、汚職防止やロビイングについて、それぞれ報告が求められています。これらの情報の収集、分析及び報告には多大な時間・労力を要する場合があることから、日本企業においても、子会社を含めた適用開始時期を確認の上で早めに対応を開始することが望まれます。
[ESG/COP/気候変動]
国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)の開催
“The Decisive Decade is Now”: What to Expect at COP28
2023年11月30日から12月12日まで、ドバイで、国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(以下「COP28」といいます。)が開催されます。2023年には、アメリカだけで、24件以上、10億ドルを超える損失をもたらした気象災害が発生するなど、気象災害の頻度と深刻さは増大しており、気候変動対策に係る早急な世界的行動が必要とされています。COP28では、気候変動を緩和するために重要な、再生可能エネルギー容量の増加、温室効果ガス排出量の削減、排出量の多いセクターの変革等の実現等が議論される予定です。また、2015年のパリ協定で設定された多国間の気候目標の達成状況を評価するための仕組みであるグローバル・ストックテイク(Global Stocktake)に関する統合報告書への対応に加え、エネルギー業界の温室効果ガス排出量削減へのコミットメントの評価、エネルギー転換を推進するための資金活用の拡大、気候変動に起因する損失損害への対応基金の運用方法なども議論される予定です。当事務所のESGを専門とする弁護士は、COP28に参加し、現在のESGの進展や課題について政府及び企業関係者と議論をする予定であり、それらも踏まえ、グローバルビジネス戦略に大きな影響を与えるCOP28で議論される各事項について、今後もクライアントの皆様を支援いたします。
News
[2024 Corporate Political Activity and Government Affairs Compliance Seminarを弊所ワシントンDC オフィスで開催します]
企業による政治活動と政策渉外に関するコンプライアンスセミナーを2024年2月8日に弊所ワシントンDCオフィスで開催致します(オフレコでIn-personのみです)。コビントンが得意とする分野の一つですので、詳細をご希望の方はイノウエまでご連絡ください。
コビントンの国際仲裁チームは、ロシアによる在クリミア資産の収用につき、ウクライナの最大のエネルギー企業を代理して2018年に国際仲裁を開始し、今年11月1日、ロシア政府に対してU.S. $270 million(約405億円)の損害賠償を命ずる仲裁判断を勝ち取りました。
経済制裁と貿易管理に関する執行がかつてないほど増加しています。コビントンでは、米国政府高官経験者を含む経験豊富なチームを米国のみならず中国及び世界各地に有しており、センシティブかつ複雑なTrade Control Enforcementにつき最善のアドバイスを提供しています。このTrade Controls Enforcementコンテンツハブは、グローバルに事業を展開する企業に最新の情報を提供するために始めたものです。ぜひご活用ください。
Webinars
弊所主催Webinarは、参加のご登録をいただくと後日録画をご視聴いただけます(オフレコのWebinarを除く)。参加の難しい時間帯のWebinarもぜひご検討ください。
[PLI Conference | Coping with U.S. Export Controls and Sanctions 2023]
12/14 & 15 6 a.m. (PT)- 弊所パートナー Peter Flanagan がCo-Chairをつとめる米国貿易管理と経済制裁に関するPLIカンファレンスが開催されます。ディスカウントコードをご希望の方は担当イノウエまでご連絡ください。
Practice Spotlight
米国、EU、中国間の政治・経済環境が複雑化し、中国に関連する案件についてアドバイスを求められることが多くなってきています。そこで、今月はコビントンのChina Practiceについてご紹介します。
コビントンは、
- 中国におけるコンプライアンスと調査
- 中国に関連する貿易管理及び経済制裁
- 中国現地パートナーとのJV組成
- プライバシー、独占禁止法、薬事法等中国における規制
- 中国での複雑な訴訟に関する戦略
などコーポレート、訴訟、コンプライアンス、規制の全分野においてアドバイスを提供しており、今年5月にはGE Chinaの General Counselを務めたYanping Caoが上海オフィスに入所しています。また、米国財務省で中国問題のSenior Coordinatorを務めたChristopher Adamsなど元米国政府高官を含むChina Public Policyチームによる政策支援も得意としています。
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