コビントン・バーリング法律事務所より、2月に配信したニュースやブログ記事等をまとめてお送りします。
今月のPick Up記事は下記になります。
1)トランプ政権がアメリカファーストの投資ポリシーを発表
2)トランプ政権、CFPB規則を無効化へ
3) 近時の大統領令に関する主要動向のタイムライン
4)トランプ大統領「Make America Healthy Again委員会」を設立
5) 改訂HSR法が施行
6) 連邦政府と州政府による、DeepSeekの利用制限に向けての対応
7) 連邦ステーブルコイン法案「GENIUS法案」について把握すべき7つの事項
8) 2025年1月におけるAI政策の動向―トランプ政権への移行
9) NHTSAが新たな自動運転に係るプログラムを提案
10) シェインバウム大統領によるプラン・メキシコの発表
Pick Up
[米国/国際通商/投資規制/中国]
トランプ政権がアメリカファーストの投資ポリシーを発表
Trump Administration Issues America First Investment Policy
2025年2月21日、トランプ大統領は、アメリカファーストの投資ポリシー(America First Investment Policy)を発表しました。同ポリシーでは、国家安全保障と経済安全保障を明確に同一視した上で、合理化された規制プロセスを通じて、同盟国およびパートナー諸国からの投資を促進することを目指しています。一方で、同ポリシーでは、幅広い分野において、中国その他の懸念国からの投資を抑制するとともに、中国等に対する対外投資の制限を行うことも想定しています。
[米国/トランプ政権/CFPB/消費者金融保護局]
トランプ政権、CFPB規則を無効化へ
CFPB Rules Under Trump 2.0 – Pathways to Nullification
米国消費者金融保護局(Consumer Financial Protection Bureau:CFPB)は、第二次トランプ政権発足前の2年間において、クレジットカード延滞料、オープンバンキング、オーバードラフト(当座貸越)、医療費負債などの様々な問題に関し、最低でも10の規則を提示ないし施行してきました。しかし、ホワイトハウスと両議会を支配するに至った共和党は、このようなCFPBの規則の多くを無効化する意向であることが明らかになりました。CFPBの規則を無効化する方法はいくつか存在し、対象となる規則のステータスにより、議会審査法(Congressional Review Act:CRA)による無効化、意見公募手続きを介した規則の廃止、規則施行の見合わせ等による事実上の無効化などが考えられます。本稿では、無効化されるとみられる注目度の高いCFPB規制、その無効化の手法などについて詳しく解説します。
[米国/トランプ政権/政府契約]
近時の大統領令に関する主要動向のタイムライン
Timeline of Key Developments Related to Recent Executive Actions
弊所政府契約プラクティスグループでは、第二次トランプ政権発足以降における、連邦政府請負業者等に影響を及ぼす可能性がある大統領令の動向をフォローしています。2025年1月20日から2025年2月18日までの主要な動向をまとめたタイムラインはこちらからご覧いただけます。
[米国/トランプ政権/大統領令/ヘルスケア]
トランプ大統領「Make America Healthy Again委員会」を設立
The White House Issues an Executive Order to Establish a Make America Healthy Again Commission
2025年2月13日、トランプ大統領は「Make America Healthy Again(アメリカを再び健康にする)委員会」を設立する大統領令に署名しました。この大統領令では、米国人の平均寿命がほかの先進国に比べて短く、慢性疾患や精神疾患が増加していること、がん、喘息、自己免疫疾患、肥満等の発生率が増加していることが述べられ、このような「深刻化する米国の健康危機」への対処が必要であるとされています。そして、この大統領令は、健康危機への対処として、ロバート・F・ケネディ・ジュニア保健福祉省長官を議長とするMake America Healthy Again委員会(MAHA委員会)の設置を定めています。MAHA委員会は、今後、子どもの慢性疾患をはじめとする国民の健康に関する評価と戦略策定に取り組み、大統領への提言と支援を行うこととされています。本稿では、上記大統領令の詳細について解説します。
[米国/連邦取引委員会/HSR法/独禁法/企業結合]
改訂HSR法が施行
Revised Hart-Scott-Rodino Rules & Requirements Are Now in Effect
今般、改訂ハート・スコット・ロディノ法(the Hart-Scott-Rodino Act:HSR法)及び新たなHSR届出フォームが2025年2月10日付で施行され、これにより、今後すべての届出において、新フォームの使用が求められることとなりました。新フォームでは、旧フォームと同様の資料のほか、取引理由、競合関係や供給関係などの説明や文書が求められます。連邦取引委員会(The Federal Trade Commission:FTC)は、改訂されたHSR法と新フォームについて、追加のガイダンスを提供しており、その中には新フォームに関するQ&Aも含まれています。本稿では、これら改訂HSR法に関する情報をより詳細にご紹介します。なお、近時のHSR法の届出要件の改定についてはこちらの記事をご参照ください。
[米国/AI/テクノロジー]
連邦政府と州政府による、DeepSeekの利用制限に向けての対応
U.S. Federal and State Governments Moving Quickly to Restrict Use of DeepSeek
2024年1月、中国拠点のAIスタートアップ企業DeepSeekが提供する大規模言語AIモデルDeepSeek-R1が、世界各国で注目を集めました。米国の連邦政府及び州政府は、DeepSeekが中国を拠点としていることから、データ・セキュリティ及び国家安全保障に関する懸念を抱き、その利用を制限するための対応を進めています。具体的には、連邦レベルでは、2025年2月7日、政府機器におけるDeepSeekの禁止法案(No DeepSeek on Government Devices Act )が下院に提出され、また、州レベルでも、テキサス州・ニューヨーク州・バージニア州が、州政府管理下の機器におけるDeepSeekの利用禁止を発表しています。本稿では、連邦政府及び州政府による、DeepSeekの利用制限に向けての一連の対応について解説しています。
[米国/金融サービス]
連邦ステーブルコイン法案「GENIUS法案」について把握すべき7つの事項
Seven Things to Know About the Federal Stablecoin Bill, the GENIUS Act
2025年2月4日、米国ステーブルコインの国家的イノベーションを支援・整備するための法案(Guiding and Establishing National Innovation for U.S. Stablecoins Act:GENIUS法案)が上院に提出されました。同法案は、決済用のステーブルコイン及びその発行者に対して、連邦政府によるライセンスと監督の枠組みを定めるものです。トランプ政権は、暗号資産産業の強化に積極的に取り組む姿勢を示しており、同法案については注視が必要だといえます。本稿では、ステーブルコイン発行者のライセンスを受けるための要件、発行者が遵守する必要がある基準など、同法案に関する7つの重要ポイントを解説しています。
[米国/AI/政府契約]
2025年1月におけるAI政策の動向―トランプ政権への移行
January 2025 AI Developments – Transitioning to the Trump Administration
2025年1月、AI政策をめぐって、多くの大統領令が発布されています。まず、2025年1月14日、バイデン大統領は、AIインフラにおける米国のリーダーシップの推進(Advancing United States Leadership in AI Infrastructure)に関する大統領令を発布し、AIデータセンター等の建設等のために連邦政府用地のリースを進めること、AIインフラに対する環境許認可を合理化すること等を指示しました。その後、2025年1月20日、トランプ大統領は、有害な大統領令及びアクションの撤回(Initial Recissions of Harmful Executive Orders and Actions)に関する大統領令を発布し、バイデン政権が発した大統領令の一部(上のAIインフラに関する大統領令は含みません)を撤回し、さらに、1月23日には、AIにおける米国のリーダーシップへの障壁の除去(Removing Barriers to American Leadership in Artificial Intelligence)に関する大統領令を発布し、大統領補佐官等に対して、世界における米国のAIの優位性の維持及び強化のために、180日以内に、AI行動計画を作成することを命じています。本稿では、これら大統領令や、DeepSeekに対する対応等、2025年1月のAI政策の動向について解説しています。
[米国/自動運転/テクノロジー]
NHTSAが新たな自動運転に係るプログラムを提案
NHTSA Proposes New Autonomous Vehicle Program
2025年1月15日、米国運輸省道路交通安全局(National Highway Traffic Safety Administration:NHTSA)は、自動運転システムの搭載車両を審査・監督するための枠組みを新設する規則案を公表しました。これは、自動車メーカー、自動運転システム開発者等のための任意のプログラムで、申請者は、NHTSAに対して、自動運転の運用等に係る詳細な情報や、独立評価機関による評価結果等を提出する必要があります。申請者は、NHTSAによって承認された場合、連邦自動車安全基準(Federal Motor Vehicle Safety Standards)の免除を受けることができます。本稿では、同規則案に基づくプログラムの申請に係る資格・要件、留意点等について解説しています。
[メキシコ/経済政策/投資計画/ニアショアリング]
シェインバウム大統領によるプラン・メキシコの発表
President Sheinbaum’s Mexico Plan: Can Mexico Still Drive a Nearshoring Boom?
2025年1月13日、メキシコのシェインバウム大統領は、国内投資などに関する新経済計画である「プラン・メキシコ」を発表しました。この計画の主な目的は、国内生産の促進、特定分野の製造業に関する新規雇用創出、グローバル・サプライチェーンにおける付加価値向上、開発拠点・工業団地の創出、高等教育へのアクセス拡大、科学技術革新の強化等とされています。また、同計画においては、2030年までにメキシコを世界トップ10の経済大国に押し上げること、GDPの28%を投資に充てること、特定分野の製造業において150万人の雇用を創出することなどの目標も設定されています。このようなメキシコの新経済政策は、米国の貿易政策の大幅な変更を推進するトランプ新政権との関係でも注目されます。本稿では、プラン・メキシコの詳細、その分析と見通しについて解説します。
ご不明な点やより詳しい情報の入手等のご要望がございましたら、ジャパンプラクティス代表木本までご連絡ください。
News
[The Covington European Life Sciences Symposium 2025が開催されました] 下記のとおり幅広いトピックにつき最先端の議論がなされました。各トピックのまとめはこちらでご覧いただけます。3月13日にはサンフランシスコで2025 Covington Bay Area Life Sciences Symposiumが開催されますので、詳細はこちらでご覧ください。
- European Life Sciences – The Changing Landscape for Pharma and Biotech
- The EU HTA Regulation: Practical and Legal Points for 2025 & Beyond
- Information Exchange in Ongoing Collaboration
- Companion Diagnostics under the IVDR
- Efforts Clauses in Life Sciences Contracts
- Investigations and Whistleblowing
- Environmental, Social and Data Law including NIS2 and Update on National Laws
- Options to Acquire
[Global Competition ReviewのGCR Awardsの最終選考リストに選出されています] ノミネートされているのは下記項目です。
- Litigator of the Year – Rob Wick
- Litigation of the Year (Non-cartel defence) – NFL Sunday Ticket
- Litigation of the Year (Non-cartel defence) – Dismissal of athletic scholarship antitrust lawsuit against Ivy League schools
- Matter of the Year – Illumina/Grail
Webinars
弊所主催Webinarは、参加のご登録をいただくと後日録画をご視聴いただけます(オフレコのWebinarを除く)。
[Trade Takeaways for Business from Trump’s First 30 Days] 2月25日に開催したウェビナーの録画をこちらからご視聴いただけます。3月末までの予定ですが、予告なしに変更になることがありますのでお早目にご視聴ください。
[U.S. Cross-Border Financial Crime Priorities in the Trump Administration] Tuesday, March 11, 2025, from 9:30 - 10:30 p.m. EDT
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