コビントン・バーリング法律事務所より、4月に配信したニュースやブログ記事等をまとめてお送りします。
今月のPick Up記事は下記になります。
1) 米国原産地表示に関する大統領令及び連邦取引委員会による取締り
2) トランプ政権、特許医薬品及びその成分に対する新たな関税措置を発表
3) PFASの包括的禁止案に関するパブリック・コンサルテーションを開始
4) 米国倒産法363条(Section 363)を活用した資産取得について
Pick Up
[米国/消費者保護/表示規制]
米国原産地表示に関する大統領令及び連邦取引委員会による取締り
President Trump Issues Made in USA Executive Order
FTC Sweep on “Made in the USA” Claims
一つ目の記事では、2026年3月13日に発出された「Made in America」「Made in the USA」などの米国原産地表示(MUSA claims)に関する大統領令について解説しています。本大統領令自体は、既存の法的要件を変更するものではありませんが、トランプ政権が米国原産地表示の取締り・執行を引き続き重視していく姿勢を明確に示したものといえます。本大統領令は、連邦取引委員会(Federal Trade Commission:FTC)をはじめとする関係当局に対し、現行規制を積極的に執行するとともに、新たなルール策定の可能性も含めて検討することを求めています。
二つ目の記事では、2026年4月14日に、FTCが、米国原産地表示に関する3件の和解と2件の調査終結通知を公表したことについて解説しており、これは実際にFTCにおける執行姿勢が一層明確化していることを示しています。これらの事例からいえることは、明示的かつ無限定(例:条件や注記を付さずに “Made in USA” と表示する場合)な米国原産地表示は高い執行リスクを伴うという点です。もっとも、FTCのガイダンスは、黙示的又は限定的な米国原産地表示であっても、内容次第では執行対象となり得ることを明確に示しています。
こうした動きを踏まえ、米国市場で製品を販売等する企業は、自社の「Made in USA」等の米国原産地表示や関連する表示が、米国法令等に照らして適切かどうかを改めて確認することが有益となります。Covingtonでは米国原産地表示規制のコンプライアンスに関する多数の助言も行っていますので、ご不明な点がございましたらお問い合わせください。
[米国/ヘルスケア/輸出入規制]
トランプ政権、特許医薬品及びその成分に対する新たな関税措置を発表
Trump Administration Announces Section 232 Tariffs on Patented Pharmaceuticals & Ingredients
2026年4月、米国は通商拡大法(Trade Expansion Act)232条に基づく大統領令を発出し、特許医薬品及びその原料について国家安全保障上の理由から新たな関税措置を決定しました。本記事では、その対象範囲や一定の免除軽減措置等について、詳細に解説をしています。本措置は医薬品全般を対象とするものではなく、the Harmonized Tariff Schedule of the United States(HTSUS)で特定された品目のうち、有効な米国特許を有し、食品医薬品局(Food and Drug Administration)で承認されている医薬品又はその成分に限定して適用されます。本措置の効力は、Annex IIIに記載された一部の大手製薬企業については2026年7月31日、それ以外の企業については同年9月29日にそれぞれ生じます。対象製品の米国への輸出には、原則として100%という非常に高い関税が課されますが、日本については、米国の通商上のコミットメントを踏まえた国別関税軽減の対象となっており、医薬品が日本原産と認定される場合には15%の関税率が適用され得ます。もっとも、医薬品の原産地判断では最終製剤地ではなく原薬(active pharmaceutical ingredients)の製造地が重視される可能性が高く、日本企業であってもサプライチェーン次第では優遇を受けられないリスクがあります。また、希少疾病用医薬品や先端医療などの特定の専門製品、及びジェネリック医薬品については原則0%関税とされていますが、一部については所管当局による認証要件や将来の見直しが予定されています。
[EU/PFAS規制]
PFASの包括的禁止案に関するパブリック・コンサルテーションを開始
ECHA Launches a New Public Consultation on a Proposed Universal Ban on PFAS in the EU
2026年3月26日、欧州化学品庁(ECHA)は、EUのREACH規則に基づくPFAS(パーおよびポリフルオロアルキル物質)の包括的禁止案について、社会経済分析委員会(SEAC)の意見書(案)を公表し、これにより、2026年5月25日までの60日間のパブリック・コンサルテーションが開始されました。
SEACの意見書(案)およびECHAのリスク評価委員会(RAC)の意見書はいずれも、当初のPFAS提案に含まれていた多くの適用除外(デロゲーション)を削除又は縮小べきと勧告しています。EUがこれらの勧告に従った場合、2029年以降、EUにおいてPFASを含有する医薬品、医療機器、化粧品などのライフサイエンス製品や消費者製品の製造・販売が大幅に制限される可能性があります。
企業にとって、本コンサルテーションは、今後の欧州委員会の判断や最終的な規制内容に影響を与え得る実質的に最後の重要な機会となる可能性があります。
本稿では、PFAS提案およびSEAC意見書(案)の概要を整理するとともに、ECHAへの意見提出にあたり考慮すべきポイントを示しています。
[米国/倒産法]
米国倒産法363条(Section 363)を活用した資産取得について
Section 363 Sales Provide Strategic Opportunities to Acquire Assets in the U.S. | Covington & Burling LLP
米国では、倒産法第363条(Section 363 of the Bankruptcy Code)に基づき、裁判所の監督下で、予測可能かつ透明性の高いプロセスによる資産売却が可能です。この制度を利用することで、米国市場への新規参入や事業拡大等の戦略的な事業展開を検討している外国企業は、事業を継続する形で、担保権やその他の負担、過去の債務・責任、契約上の義務から切り離された形で資産を取得できる可能性があります。
この手続きに基づく売却は、通常、迅速かつ明確なルールに基づいて進められ、倒産裁判所による監督を受けるため、取引の安定性が高い点が特徴です。すなわち、これは、法的保護、裁判所の関与、そして取引の柔軟性が組み合わさった制度であり、米国での戦略的な事業展開を目指す外国企業にとって非常に有用な仕組みといえます。実際に、さまざまな業界において、外国企業がこの制度を活用しており、本稿では、いくつかの例を紹介しております。
この手続きは、現在もなお、外国企業による米国への投資において、柔軟性と信頼性を兼ね備えた手法ですが、一定の入札手続きを経る必要があり、かつ、魅力的な案件であればあるほど多数の入札者間による競売になりますので、具体的にこの手続きの利用を検討している外国企業は、早い段階で、米国の弁護士に相談することが重要となります。
News
[米国司法省国家安全保障局外国投資審査部門(FIRS)元高官Devin DeBackerがCFIUSプラクティスに加入しました] DeBackerは、バイデン政権及びトランプ政権下でFIRS部門長を務め、国家安全保障に関連する対米投資・取引案件を統括しました。また、司法省のデータセキュリティ・プログラム(DSP)の立ち上げ・実施を主導し、サプライチェーン規制など新たな国家安全保障規制の整備にも深く関与してきました。こうした豊富な経験を活かし、地政学リスク、国家安全保障、商取引が交差する複雑な案件において、実践的かつ戦略的な助言を提供します。