コビントン・バーリング法律事務所より、5月に配信したニュースやブログ記事等をまとめてお送りします。
今月のPick Up記事は下記になります。
- 英国による対ロシア制裁の最新動向
- EU AI法上の透明性確保義務に関するガイドライン案:押さえるべき10のポイント
- EU AI法の最新動向:施行時期の緩和、規制の簡素化及び新規規制の導入
- 米国証券取引委員会による公開募集制度改革案の要点
- 防衛関連請負業者に対するFOCI開示およびリスク緩和要件の拡大を実施するための規則案の公表
- コネチカット州、包括的AI法を可決
Pick Up
[英国/対ロシア制裁]
新たな英国による対ロシア制裁
New United Kingdom Sanctions Against Russia
英国は、2026年5月20日、対ロシア制裁規則を改正しました。
かかる改正では、ロシア産原油を原料として第三国で精製された石油製品について、英国への輸入が新たに制限されました。これに伴い、当該製品の輸入に関連する技術支援や資金提供、仲介サービスの提供も制限対象となります。他方で、ディーゼルおよび航空燃料については、一定の条件下で取引を認める一般ライセンスが発行されています。
次に、ロシア産又ははロシアから出荷されたLNG(液化天然ガス)に関し、海上輸送が禁止されるとともに、これに関連する金融サービスや仲介サービスの提供も制限されました。
さらに、ロシア産ウランに関しても、輸入や取得等が新たに禁止され、これに関連する技術支援や金融サービスの提供も制限されました。
その他、半導体製造関連の化学物質等の輸出管理規制、船舶関連規制及び建設サービスについて、追加の規制が導入されました。
当事務所では、米国・英国・EUによる対ロシア制裁の動向を注視しております。何かご不明な点等ございましたら、お気軽にお問い合わせください。
[EU/AI/EU AI Act/Transparency Obligation Guidelines]
EU AI法上の透明性確保義務に関するガイドライン案:押さえるべき10のポイント
10 Takeaways: European Commission Draft Guidelines on AI Transparency under the EU AI Act
2026年5月、欧州委員会は、EU AI法第50条に基づく透明性確保義務の実施に関するガイドライン案を公表しました。本ガイドラインは、法的拘束力を有しないものの、同条についての体系的な解釈を示すものであり、実務上の重要な指針となります。本稿では、本ガイドラインの重要な点を解説しています。
本ガイドラインは、①利用者が対話相手がAIか自然人か明らかではない場合の表示、②AI生成コンテンツの技術関連表示、③感情認識・生体分類の通知、④ディープフェイクの表示に関する義務等について、提供者(provider)と導入者(deployer)が取るべき具体的な内容等について整理しています。
また、表示義務の適用例外の解釈、ディープフェイクの該当性など、実務上の重要論点について具体的解釈を提示しています。
透明化確保義務は2026年8月2日(※別のピックアップ記事でご説明しているとおり、「Digital Omnibus on AI」が採択された場合、同日より前に市場投入されたAIについては、一部の義務の適用開始時期が2026年12月2日に延期されます。)に適用開始予定ですが、本ガイドラインは、Code of Practice on Transparency of AI-Generated Content(こちらは2026年3月に第二次案が公表されており、最終版が6月に策定される予定です。)と併せて、AI生成コンテンツの透明性規制に関する実務上主要な指針となります。
[EU/AI/Digital Omnibus on AI]
EU AI法の最新動向:施行時期の緩和、規制の簡素化及び新規規制の導入
EU AI Act Update: Timeline Relief, Targeted Simplification, and New Prohibitions
2026年5月、EU理事会・欧州議会・欧州委員会は、EU AI法の改正案(Digital Omnibus on AI)について暫定合意に達しました。本稿では、今回の改正内容について解説しています。
概要として、ハイリスクAIに関する義務については、実務対応の負担や標準整備の進捗を踏まえ、施行時期が段階的に後倒しされました。なお、生成AIコンテンツの透明化義務(第50条第2項)については、2026年8月2日より前に市場投入された既存システムについてのみ、同年12月2日までの限定的な猶予が認められています。一方、それ以降に市場投入されるシステムについては、市場投入時点から同義務が適用される点に留意が必要です。
また、EU AI法と既存の製品安全規制との関係が整理され、特定分野では個別規制との適用関係が調整されるなど、重複規制の解消に向けた見直しが行われています。
加えて、非同意の性的コンテンツや児童性的虐待資料(Child Sexual Abuse Material)の生成を目的とする、又は当該生成を防止する合理的な安全措置を備えていないAIの開発・提供・利用を禁止する新たな規制が導入されるなど、限定的ながら重要な政策変更も盛り込まれました。さらに、バイアス検証のための機微データ利用に関する要件の明確化といった点において、実務上の負担軽減にも重点が置かれています。
もっとも、EU AI法の基本構造自体に変更はなく、本改正は当初の適用スケジュールを踏まえた現実的な調整措置と位置付けられます。
[米国/証券法/Registered Public Offerings]
米国証券取引委員会による公開募集制度改革案の要点
Making Public Offerings Great Again: Key Takeaways from the SEC’s Proposed Reforms
本稿では、2026年5月19日に米国証券取引委員会(Securities and Exchange Commission)が公表した「Registered Offering Reform」について解説しています(なお、本提案は現在意見募集段階です。)。これは、企業による上場及びその維持に関するインセンティブを高めることを目的とした「変革的な改革(“Transformative reforms”)」の一部になります。関連する上場企業の報告枠組みに関する改正案については、こちらをご参照ください。
本提案の中核の一つは、短期登録様式であるForm S-3の大幅な利用拡大であり、上場後1年の待機期間の廃止や、小規模企業に対する発行額制限の撤廃により、より多くの企業が迅速に証券発行を行えるようになります。
また、新規上場企業はIPO直後から発行登録(shelf registration)やATMオファリングの活用が可能となり、資金調達のタイミングの自由度が大きく向上します。さらに、Form S-3を利用できない企業についても、Form S-1における参照組込みの拡充により、開示負担の軽減が図られます。
[米国/DoD/FOCI]
防衛関連請負業者に対するFOCI開示およびリスク緩和要件の拡大を実施するための規則案の公表
Proposed Rule Issued to Implement Expanded FOCI Disclosure and Risk Mitigation Requirements for Defense Contractors | Covington & Burling LLP
2026年5月7日、国防総省(DoD)は、安全保障分野に関与する多数の企業に対し、外国による所有・支配・影響(Foreign Ownership, Control, or Influence:FOCI)に関する開示範囲等を拡大する規則案を公表しました。
本規則案は、500万ドル超の契約に関与する企業(下請業者も含みます。)に対し、実質的所有者及びFOCIの状況を開示し、国家産業安全保障システム(NISS)への登録を行うこと等を義務付けます。
一方で、本規則案は、「国家安全保障へのリスク」等の重要な概念の定義を明確に示していない等の問題があり、その具体的運用には不確実性が残されています。
本規則案に対するコメントの提出期限は2026年7月6日であり、最終規則の制定は今年後半に予定されています。
[米国/AI/コネチカット]
コネチカット州、包括的AI法を可決
Connecticut Passes Comprehensive AI Law | Inside Global Tech
Connecticut州議会は2026年5月1日、AIの安全性、透明性および消費者保護を目的とする包括的な規制法(SB 5)を可決しました。本法は州知事による署名を経て施行される見込みです。
本法は、フロンティア開発者、AIコンパニオンの運営者、及び雇用関連の自動意思決定技術の開発者・利用者等に対する多層的な規制枠組みを導入している点が特徴的です。
フロンティアAIの開発者に対しては、AIに関連する公衆衛生・安全上のリスクについて従業員が報告できる体制の整備や、報復の禁止などの内部統制義務が課されます。また、AIコンパニオンに関しては自殺や自傷行為、差し迫った暴力行為の兆候を検知する仕組みの導入や、そのような行為を助長する出力の抑制のための措置が義務付けられ、未成年者に対する提供については保護措置が強化されています。
雇用関連の自動意思決定技術についても、開発者および利用者に対して、一定の通知義務や情報提供義務を課しています。
[Japan Practice 共同代表木本がLos Angeles Business Journal 誌のLeaders of Influence: M&Aに選出されました] これはロサンゼルス地域における卓越したM&A分野を牽引するリーダーを表彰するもので、日米双方の弁護士資格を有し、両国で弁護士として勤務した経験を持つ木本は、米国と日本の法制度の違いやクロスボーダー取引に内在する文化的要素を踏まえた、実務的かつ戦略的なアドバイスを提供し、複雑な国際案件においてクライアントから高い評価を得ています。2021年以降、ChambersにおいてM&A分野で毎年ランクインしているほか、Los Angeles Times誌の“Business of Law Visionaries”や、Los Angeles Business Journal誌の “Leading Professionals in Their 40s”及び“Minority Leaders of Influence”にも選出されています。同じくロサンゼルスオフィスに在籍するDavid Lefebvreも選出されています。
[EU パブリックポリシープラクティスがさらに拡充されました] テクノロジー及びライフサイエンス分野で卓越した専門性を持つシニアアドバイザー2名がブリュッセルオフィスに加入しました。Dita Charanzováは、外交官、EU理事会通商政策委員会議長、欧州機会議員等、EU機関、外交、国際関係分野で20年以上の経験を有しており、2019年7月から2024年7月までは欧州議会副議長を務めました。欧州議会では、デジタル政策、消費者保護、域内市場、国際貿易を中心に取り組み、主要なEUデジタル関連法の交渉において重要な役割を果たしました。Zeger Vercouterenは、ライフサイエンス分野で25年以上の経験を有し、直近ではJohnson & JohnsonのEMEA政府渉外・政策担当バイスプレジデントを務めました。政府渉外、公共政策、通商、市場アクセス、規制対応、ステークホルダー対応において豊富な知見を有しています。
[Life Sciences IP Review誌 の選ぶ“Life Sciences IP Litigation Firm of the Year” で“Highly Commended”を受賞しました] 同賞は、ライフサイエンス分野における特許訴訟での卓越性・革新性・リーダーシップを評価するもので、16のファイナリストの中から最優秀賞に次ぐ評価を取得した法律事務所に与えられるものです。加えて、コビントンで特許訴訟プラクティス共同代表を務めるChristopher Sipesが”Patent Litigator of the Year”で同じく”Highly Commended”に、Sipesが第一三共を代理して巨額賠償評決を覆したSeagen Inc. v. Daiichi Sankyo Co., Ltd., も“Case of the Year/Impact Case Award”のファイナリストに選出されました。
[芝浦機械株式会社によるMoore Nanotechnology Systems, LLC買収につき芝浦機械を代理しました] Japan Practice共同代表の木本泰介及び航空宇宙・防衛、テクノロジー、ライフサイエンスなど規制の厳しい分野におけるM&A等コーポレート案件を多く手掛けるBrian Yangが主導しました。
Practice Spotlight — 量子コンピューティング
コビントンは、量子コンピューティングなどの新興技術が実用化に近づく中、クロスボーダーの連携、政府関連プロジェクト、知的財産保護、商業化といった幅広い案件につき、世界有数のテクノロジー企業や研究機関に対し法的・戦略的助言を提供しています。また、具体的な案件への助言に加えて、下記のようなテーマにつき最新動向をお伝えするブリーフィングも提供しています。
- 量子技術の開発および商業化に伴う法的課題(研究開発、合弁、共同開発、知的財産の帰属を含む)
- 輸出管理、CFIUS、国家安全保障等の観点からの新たな規制動向
- ポスト量子暗号およびサイバーセキュリティに関する対応
Quantum Computing ページでは、Threat to Public Key Cryptography等の解説ビデオを公開しているほか、CFIUS、輸出管理、サイバーセキュリティ、IP、Government Contractsといった量子コンピューティングに関連するプラクティスを紹介しています。ぜひご覧下さい。
開催済のWebinarもOn Demand配信をしている場合がありますので登録ボタンからご確認下さい。なお、配信は予告なく終了されますのでご了承下さい。Webinar に関するご質問その他のご要望がございましたらジャパンプラクティス代表木本までご連絡ください。
Virtual Pharmaceutical and Medical Device Pricing and Payment Transformation Summit June 16-19, 2026 コビントンのKristie Gurley, Arun Venkataraman, Stefanie Doebler, Sarah Franklin, Victoria Corke, 及び TJ Garrigan がパネリストとして参加します。
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